事故ゼロを実現する「ヒヤリ・ハット共有」の仕組みとは? 警備現場で安全文化を根付かせる方法

事故ゼロを実現する「ヒヤリ・ハット共有」の仕組みとは? 警備現場で安全文化を根付かせる方法

警備業務では「安全の確保」が最優先です。

しかし、どれだけベテラン警備員が揃っていても、現場には常に“ヒヤリ”“ハッと”する瞬間が潜んでいます。

これらの小さな危険の兆候―いわゆる「ヒヤリ・ハット」を軽視すると、いずれ重大事故につながる可能性があります。

近年、警備業界ではこのヒヤリ・ハットを組織的に共有し、再発防止や教育に活かす取り組みが広がっています。

本記事では、「事故ゼロを実現するヒヤリ・ハット共有の仕組み」をテーマに、

その具体的な方法や運用のポイント、導入による効果を詳しく解説します。

安全文化を浸透させたい警備会社や現場管理者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

【なぜ“ヒヤリ・ハット共有”が警備現場に必要なのか】

◇ヒヤリ・ハットとは?小さな出来事が大事故を防ぐ

「ヒヤリ・ハット」とは、事故には至らなかったものの「ヒヤリとした」「ハッとした」出来事を指します。

労働安全衛生の分野では、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故、そして300件の

ヒヤリ・ハットがあるとされる「ハインリッヒの法則」が知られています。

警備現場においても、たとえば以下のような事例がヒヤリ・ハットに該当します。

 

  • 車両誘導中、無線連絡が途切れて進入車両を見落としかけた
  • イベント警備で観客が想定外の方向から侵入し、危うく接触しかけた
  • 夜間警備中に照明が切れて一時的に視界を失った

 

これらは一見「何事もなかった出来事」ですが、同様の状況が繰り返されれば重大事故を招くリスクが高まります。

ヒヤリ・ハット共有の目的は、こうした兆候を組織全体で可視化し、次の事故を未然に防ぐことにあります。

 

【“事故ゼロ”を目指すヒヤリ・ハット共有の仕組み】

①現場からの迅速な報告体制をつくる

ヒヤリ・ハットの共有を機能させるには、まず「現場で気づいたことをすぐ報告できる環境」が不可欠です。

紙の報告書や口頭伝達では情報が滞りやすいため、最近では以下のようなデジタルツールを

活用する企業が増えています。

  • スマートフォンやタブレットで簡単に入力できる報告フォーム
  • 写真付きで状況を送信できるアプリ
  • 本部とリアルタイムで情報を共有できるクラウド管理システム

 

報告のハードルを下げることで、警備員一人ひとりが「気づきを残す」文化を育てられます。

 

②本部での分析とフィードバックを徹底する

現場から集まったヒヤリ・ハット報告は、ただ蓄積するだけでは意味がありません。

本部や安全管理担当者が内容を分析し、傾向を把握したうえで「再発防止策」としてフィードバックすることが重要です。

たとえば、

  • 特定の現場で無線トラブルが多発している → 通信機器の定期点検を強化
  • 夜間の視界不良が多い → 追加照明の設置・LED誘導灯の導入
  • 誘導員間の連携ミスが発生 → 朝礼で情報共有と指差し呼称の徹底

 

このようにデータを活用し「次に活かすサイクル(PDCA)」を回すことで、組織全体の安全レベルが向上します。

 

③全員参加型の“安全ミーティング”で共有文化を定着

ヒヤリ・ハットは、報告者だけでなくチーム全体の学びに変えることが大切です。

定期的に「安全ミーティング」や「事例共有会」を実施し、実際のヒヤリ・ハット事例をもとに

ディスカッションすることで、警備員同士が注意喚起し合う文化が育ちます。

また、良い報告をした社員を表彰する制度を設けると、前向きに参加できる雰囲気が生まれます。

単なる“指摘”ではなく、“称賛される安全行動”として浸透させることが、長期的な安全意識の定着につながります。

 

【ヒヤリ・ハット共有による3つの効果】

①現場の安全意識が格段に高まる

「自分の気づきが組織全体の改善につながる」という実感が生まれ、

警備員の安全意識が日常的に向上します。

経験年数に関係なく、誰もが“安全管理の一員”として関われる点も大きなメリットです。

 

②教育・研修の質が向上する

蓄積されたヒヤリ・ハット事例は、実践的な教育教材として活用できます。

新人研修やOJTで「実際に起きたヒヤリ事例」を学ぶことで机上の知識だけでなく、

現場の“リアルな危険”を体感的に理解できます。

 

③顧客からの信頼向上につながる

安全管理体制が整っている会社は、発注側(建設会社・イベント主催者など)からの

信頼が高まります。

ヒヤリ・ハット共有の取り組みを明示すれば、「安全に強い警備会社」として

差別化にもつながります。

 

【共有を継続するためのポイント】

  • 報告書を“評価”ではなく“改善”のために使う
  • 報告内容を定期的にフィードバックし、改善結果を見える化
  • 経営層が率先して安全文化の推進を発信
  • 現場の声を吸い上げる「双方向型コミュニケーション」を意識

 

この4点を意識することで、ヒヤリ・ハット共有は単なる制度ではなく、

現場に根付く安全活動として機能します。

 

【まとめ】

ヒヤリ・ハットの共有は、単なる「報告の義務」ではなく、

事故ゼロを実現するための組織的な知恵の蓄積」です。

現場の声を可視化し、全員で改善を重ねていくことこそ、真の安全文化づくりにつながります。

警備現場の安全性を高め、顧客から信頼される体制を築きたい企業担当者の皆さま。

ヒヤリ・ハット共有の仕組みづくりに取り組むことで、現場の事故ゼロが現実のものになります。

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